白菜の植え時期についてお調べですね。
家庭菜園や農業で人気の白菜ですが、いざ育ててみるとベストなタイミングが分からなかったり、初心者には育て方が難しいと感じることも少なくありません。
特に、種まきや春植えの時期を間違えると、うまく育たない原因になったり、葉が巻かないといった失敗につながることもあります。
この記事では、白菜栽培で成功するための正しい植え時期から収穫時期までの流れ、そして栽培でつまずきがちなポイントの解決策を網羅的に解説します。
- 白菜栽培の最適な年間スケジュール
- 春作と秋作それぞれの栽培ポイント
- 結球しないなど栽培の失敗と原因
- 初心者でもできるプランター栽培のコツ
白菜の植え時期はいつ?秋作が基本
- 白菜の植え時期とベストな時期
- 種まきは7月から始めるのが理想
- 白菜苗植え付け時期のポイント
- 種まきが10月では間に合わない理由
白菜の植え時期とベストな時期

白菜の栽培を成功させる上で最も重要なのは、植え付けの時期を見極めることです。白菜は冷涼な気候を好む野菜であり、生育の適温は15℃~20℃とされています。特に、葉が丸く固まる「結球」が始まる時期には、15℃~16℃の気温が理想的です。
このため、気温が徐々に下がっていく時期に栽培できる秋作(夏まき・秋植え)が最も育てやすく、一般的です。栽培に失敗が少なく、初心者の方にもおすすめできます。
具体的なベストな時期は地域によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
地域 | 種まき時期 | 植え付け時期 | 収穫時期 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 7月上旬~8月上旬 | 8月上旬~9月上旬 | 9月下旬~12月上旬 |
中間地 | 8月上旬~8月下旬 | 9月上旬~9月中旬 | 10月上旬~12月下旬 |
温暖地 | 8月中旬~9月上旬 | 9月中旬~10月上旬 | 11月上旬~2月上旬 |
栽培計画のポイント
ご自身の地域がどの区分に入るかを確認し、栽培する品種のパッケージに記載されている栽培暦も参考にしながら、最適なスケジュールを立てましょう。特に、収穫が冬にかかる場合は、霜が降りるタイミングも考慮する必要があります。
種まきは7月から始めるのが理想

前述の通り、寒冷地では7月上旬から種まきが始まります。他の地域でも、栽培計画によっては7月下旬頃から種まきを始めることがあります。早く種まきをすることには、メリットとデメリットの両方が存在します。
主なメリットは、生育期間を長く確保できるため、株が大きく育ち、立派な白菜を収穫できる可能性が高まる点です。しかし、その反面で注意すべき点もあります。
7月~8月上旬はまだ気温が高く、台風シーズンでもあります。この時期に種まきや育苗を行うと、高温による生育不良や、アオムシ、コナガといった害虫の被害に遭いやすくなります。また、強い雨風で苗が傷んでしまうリスクも考慮しなければなりません。早まきをする場合は、防虫ネットや寒冷紗を活用し、徹底した病害虫対策が不可欠です。
このように言うと難しく聞こえるかもしれませんが、対策をしっかり行えば、大きな収穫の喜びにつながります。栽培に慣れてきたら挑戦してみる価値はあるでしょう。
白菜苗植え付け時期のポイント

種から育てるのが難しいと感じる初心者の方は、苗を購入して植え付ける方法がおすすめです。苗の植え付け時期は、種まきの約3~4週間後が目安となります。
ただ、単に時期を守るだけでなく、植え付けに適した良い苗を選ぶことが、その後の生育を大きく左右します。良い苗を選ぶことで、畑に植えた後の根付きがスムーズになり、順調なスタートを切ることができます。
- 本葉の数: 本葉が4~5枚程度の若々しい苗を選びましょう。葉が多すぎる老化苗は、根がポットの中で固まってしまい、植え付け後の活着が悪くなることがあります。
- 葉の色と状態: 葉の色が濃い緑色で、病気や虫食いの跡がない、生き生きとした苗が理想です。
- 根の状態: ポットの底穴から白い根が少し見えている状態が最適です。根が茶色く変色しているものは避けましょう。
購入した苗は、気候が安定した曇りの日や、日差しの弱い夕方を選んで植え付けると、苗への負担を減らすことができます。植え付け後は、根付くまでの数日間、水切れしないように注意深く管理してください。
種まきが10月では間に合わない理由

家庭菜園を始めるタイミングとして、涼しくなる10月頃を考える方もいるかもしれません。しかし、白菜の種まきを10月に行うのは、残念ながら遅すぎると言わざるを得ません。
その理由は、白菜が結球するために必要な葉の枚数と、気温の条件にあります。

なぜ10月だとダメなんですか?
白菜は、結球を始めるまでに「外葉」と呼ばれる外側の葉を約15~20枚ほど成長させる必要があります。この外葉が光合成を行い、結球するための栄養を作り出すからです。10月に種をまくと、この外葉が十分に育つ前に気温が15℃以下まで下がってしまい、葉の成長が止まって結球できなくなってしまうのです。
もし植え付けが遅れてしまった場合は、結球しないまま収穫し、バラの葉として炒め物などに活用する方法もあります。また、そのまま冬を越させて春に出てくる「とう立ち菜(菜の花)」を収穫して楽しむことも可能です。
白菜の植え時期に応じた栽培と春作のコツ
- 初心者向けの育て方とプランター栽培
- 春白菜の栽培と春植えのコツ
- 品種ごとの収穫時期の目安
初心者向け育て方とプランター栽培


白菜栽培が初めてで不安な方でも、いくつかのポイントを押さえることで成功率を格段に上げることができます。特に、「品種選び」「土づくり」「追肥」の3点が重要です。
ポイント1:育てやすい品種と苗を選ぶ
まず、病気に強く、栽培期間が短い「早生(わせ)品種」や、コンパクトに育つ「ミニ白菜」は、管理がしやすく家庭菜園におすすめです。また、種からではなく健康な苗から育てることで、初期の難しい育苗段階を省略できます。
ポイント2:基本の土づくり(畑の場合)
白菜の根がしっかり張り、栄養を十分に吸収できる土壌を作ることが成功の第一歩です。植え付けの2週間以上前から準備を始めましょう。
- 植え付け2週間前(酸度調整):1平方メートルあたり約150gの苦土石灰を畑全体にまき、深く耕します。
- 植え付け1週間前(元肥):1平方メートルあたり約3kgの完熟堆肥と、約150gの化成肥料(N:P:K=8:8:8など)を施し、再度よく耕して畝を立てます。
ポイント3:追肥のタイミングと量
白菜は生育旺盛で多くの肥料を必要とします。肥料切れを起こさせないために、適切なタイミングで追肥を行いましょう。
- 1回目の追肥:植え付けから2~3週間後。株の周りに化成肥料を一握り(約50g/㎡)ほどまき、軽く土と混ぜて株元に土寄せします。
- 2回目の追肥:1回目の追肥から約3週間後(結球が始まる直前)。この追肥が、玉の大きさを左右する重要なポイントです。同様に肥料を施します。
プランターでの育て方
畑がなくても、プランターを使えばベランダなどで手軽に白菜を栽培できます。
- プランターのサイズ: ミニ白菜でも根を広く張るため、深さが20cm以上、幅が60cm程度の大型プランターを用意しましょう。このサイズでミニ白菜2株が目安です。
- 用土: 市販の野菜用培養土を使えば、肥料の配合などを気にする必要がなく手軽です。
- 水やりと追肥: プランターは土が乾燥しやすいため、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。また、土の量が限られている分、肥料切れも起こしやすいので、2週間に1回程度の追肥を忘れないようにしてください。
春白菜の栽培と春植えのコツ


秋作が基本の白菜ですが、春に種をまいて初夏に収穫する「春作」も可能です。ただし、春作は秋作に比べて栽培の難易度が少し高くなることを理解しておく必要があります。
最大の課題は「抽苔(ちゅうだい)」、いわゆる「トウ立ち」です。白菜は、苗がある程度の大きさに育った段階で一定期間低温にさらされると、子孫を残そうとして花芽をつけ、花茎を伸ばし始めます。これが抽苔で、一度始まると結球せずに硬くなってしまい、食味が大きく落ちてしまいます。
春作の重要ポイント:抽苔を防ぐには
春作を成功させるには、以下の2点が不可欠です。
- 晩抽性(ばんちゅうせい)品種を選ぶ: 春まき専用に開発された、低温に感応しにくく抽苔しづらい品種を選びましょう。
- 温度管理を徹底する: 育苗期間中はビニールトンネルや温床を利用し、最低気温を13℃以上に保つように管理します。低温に当てないことが最も重要です。
このように、春作は温度管理に手間がかかりますが、みずみずしくて柔らかい春白菜を味わえる魅力があります。栽培に慣れてきたら、ぜひ挑戦してみてください。
品種ごとの収穫時期の目安


白菜には、種まきから収穫までの期間が異なる様々な品種があります。主に「早生(わせ)」「中生(なかて)」「晩生(おくて)」の3タイプに分けられ、それぞれに特徴があります。ご自身の栽培計画や目的に合わせて品種を選ぶことが大切です。
タイプ | 栽培期間の目安 | 特徴 | 代表的な品種例 |
---|---|---|---|
早生種 | 約60日~80日 | 栽培期間が短く、家庭菜園や初心者向け。病気に強い品種が多い。 | 黄ごころ65、無双 |
中生種 | 約70日~90日 | 早生種と晩生種の中間的な性質を持つ。食味と育てやすさのバランスが良い。 | CRかなめ |
晩生種 | 約100日~120日 | じっくり育つため大玉になりやすい。耐寒性が高く、貯蔵性にも優れる。 | CRオリンピア |
CR品種とは?
品種名にある「CR」は、根こぶ病(Clubroot Resistance)への耐病性を持つ品種であることを示します。アブラナ科の連作などで根こぶ病の発生が懸念される畑では、CR品種を選ぶと安心して栽培できます。
これらの栽培期間はあくまで目安です。気候や管理方法によって前後するため、実際に球の状態を手で触って確認し、固く締まっていたら収穫のサインと判断しましょう。
白菜栽培で失敗しないための対策
- 白菜の栽培で巻かない主な理由
- 育たない原因と白菜栽培の失敗例
- 最適な白菜の植え時期で収量を上げる
白菜の栽培で巻かない主な理由


白菜栽培で最も多い失敗が「葉が巻かない(結球しない)」という現象です。せっかく育てても、葉が開いたままでは白菜らしい食感や甘みは得られません。結球しないのには、いくつかの明確な理由と、それぞれに対する解決策があります。
原因1:種まき・植え付け時期の遅れ
外葉が十分に育つ前に気温が下がりすぎると、成長が止まり結球できません。これが最大の原因です。
お住まいの地域の栽培カレンダーを必ず確認し、適期を逃さずに種まき・植え付けを行うことが最も重要です。迷ったら少し早めに準備を始めるくらいが良いでしょう。
原因2:肥料不足
白菜は非常に多くの栄養を必要とする野菜です。特に、結球が始まるまでに外葉を大きく育てるための追肥が不足すると、葉の枚数が増えず、結球するためのパワーが不足します。
植え付けから2~3週間後と、そのさらに3週間後の合計2回の追肥を忘れずに行いましょう。特に2回目の追肥は、玉の大きさを決める重要な栄養補給となります。
原因3:外葉の生育不良
日照不足や株間が狭すぎることが原因で、外葉が十分に大きく育たない場合も結球不良につながります。外葉が光合成で作る養分が、結球のエネルギー源になるからです。
日当たりの良い場所を選び、株と株の間隔を40cm~50cmと広めにとりましょう。葉が重なり合わず、それぞれが十分に日光を受けられる環境を作ることが大切です。
原因4:土壌環境
水はけが悪く、根が常に湿った状態にあると根腐れを起こし、栄養をうまく吸収できなくなります。また、土壌が酸性に傾きすぎている場合も生育に影響します。
畑の場合は畝を高くして水はけを良くする工夫をしましょう。植え付け前には苦土石灰で土壌の酸度をpH6.0~6.5に調整しておくことが理想です。
原因5:水やり
生育期間中の乾燥は、成長を著しく停滞させます。一方で、水のやりすぎは根腐れの原因となり、これもまた結球しない理由になります。
「土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れるくらいたっぷりと与える」という水やりの基本を守りましょう。特にプランター栽培では水切れを起こしやすいので、こまめに土の状態をチェックしてください。
育たない原因と白菜栽培の失敗例


「葉が巻かない」以外にも、白菜がうまく育たない原因はいくつか存在します。主な失敗例として、病害虫による被害と連作障害が挙げられます。
白菜はアブラナ科の野菜であるため、特有の病害虫が発生しやすい特徴があります。
注意すべき主な病害虫
- 病気: 結球部分が腐って悪臭を放つ「軟腐病」や、根にこぶができる「根こぶ病」が代表的です。これらは多湿な環境で発生しやすいため、水はけの良い土作りが予防の基本です。
- 害虫: アオムシ、コナガ、ヨトウムシなどは葉を食害し、生育を著しく妨げます。特に生育初期に被害を受けると、その後の成長に大きく影響します。
これらの失敗を防ぐには、事前の対策が非常に重要です。
- 防虫ネットの活用: 苗を植え付けた直後から防虫ネットでトンネルを作ることで、害虫の飛来と産卵を物理的に防ぐことができます。農薬をあまり使いたくない場合に特に有効です。
- 連作を避ける: 同じ場所でアブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリー、カブなど)を続けて栽培すると、土壌中の病原菌密度が高まり、根こぶ病などの連作障害が発生しやすくなります。最低でも2~3年は間隔をあけましょう。
- 水はけの良い畝作り: 畝を通常より高くすることで、土壌の通気性と排水性が向上し、根腐れや病気の発生を抑制できます。
最適な白菜の植え時期で収量を上げる
この記事では、白菜の栽培における最適な植え付け時期から、初心者向けの育て方、そしてよくある失敗の原因と対策までを詳しく解説しました。最後に、高品質な白菜を安定して収穫するための重要なポイントをまとめます。
- 白菜栽培は秋まきが基本
- 冷涼な気候を好み結球適温は15℃前後
- ベストな種まき時期は8月下旬から9月上旬
- 温暖地では残暑を避けやや遅めに種をまく
- 寒冷地では寒くなる前に収穫できるよう早めに準備
- 7月などの早まきは病害虫リスクが高まる
- 10月以降の遅まきは結球しない原因になる
- 苗から育てる場合は本葉4〜5枚の若苗を選ぶ
- 春植えは抽苔のリスクがあるため晩抽性品種を選ぶ
- 初心者は育てやすい早生品種やミニ白菜がおすすめ
- プランター栽培も可能だが十分なサイズが必要
- 結球しない主な原因は時期のずれと肥料不足
- 大きな外葉を育てることが結球成功の鍵
- 連作を避け水はけの良い土壌で育てることが重要
- 病害虫対策には防虫ネットの活用が効果的
これらのポイントを参考に、ぜひ美味しい白菜の収穫に挑戦してみてください。