トマト栽培で頭を悩ませるオオタバコガ。
大切なトマトやミニトマトが被害に遭う前に、効果的な対策を講じたいですよね。
この記事では、トマトのオオタバコガに有効な農薬の選び方から、おすすめの製品まで詳しく解説します。
また、ナスなど他の作物への応用や、オオタバコガの天敵の活用、嫌いな植物を使った予防策、さらには無農薬での駆除方法についても触れていきます。
- オオタバコガに効果的な農薬の種類と特徴
- 農薬散布の適切なタイミングと注意点
- 無農薬でもできるオオタバコガの駆除・予防策
- 天敵やコンパニオンプランツを活用した総合的防除
トマトのオオタバコガに農薬は必須?基本知識
- そもそもオオタバコガってどんな虫?
- 効果的なオオタバコガ対策の第一歩
- トマトのオオタバコガに農薬が効く時期
- ミニトマトに農薬を使う際の注意点
そもそもオオタバコガってどんな虫?

トマト栽培で「オオタバコガ」という名前を耳にしたことはあっても、具体的にどんな虫で、なぜこれほどまでに警戒されるのか詳しく知らない方もいるかもしれません。効果的な対策を立てるためには、まず敵であるオオタバコガの生態を正確に知ることが第一歩となります。
成虫と幼虫の特徴

オオタバコガの成虫は、羽を広げると35mm~40mmほどになる蛾の一種です。体色は黄褐色や赤褐色など個体による変異が大きく、一見すると他の蛾と見分けるのが難しいかもしれません。主に夜間に活動し、この時間帯に圃場へ飛来して産卵します。

直接的な被害をもたらすのは、孵化した後の幼虫(イモムシ)です。幼虫は成長すると体長40mm程度まで大きくなり、体色は緑色っぽいものから茶褐色まで非常に多様です。この見た目の多様性が、他の害虫(ヨトウムシ類など)との判別を難しくさせる一因でもあります。見分けるポイントとして、オオタバコガの幼虫の背中には刺毛(しもう)と呼ばれる短い毛が生えている点が挙げられます(毒はありません)。
被害の広がり方とライフサイクル

オオタバコガが厄介な害虫とされる最大の理由は、その食害スタイルにあります。若齢のうちは葉の表面をかじっていますが、成長するにつれてトマトの果実や茎の内部へと侵入します。このように内部に潜り込む性質を持つ害虫を「食入害虫」と呼び、一度侵入されると外から農薬を散布しても効果が届きにくく、防除が非常に困難になるのです。
また、オオタバコガは非常に食欲旺盛で、一つの果実を食べ尽くすと次々と新しい果実へ移動して加害を続けます。このため、たとえ数匹の幼虫であっても、収量に甚大な被害を及ぼす可能性があります。
非常に広い食性(広食性)
オオタバコガはトマトだけでなく、非常に多くの種類の作物を加害します。この「広食性」も、多くの農家を悩ませる特徴の一つです。
科 | 主な被害作物 |
---|---|
ナス科 | トマト、ナス、ピーマン、タバコ |
マメ科 | ダイズ、インゲンマメ、エンドウ |
キク科 | レタス、キク、ガーベラ |
ウリ科 | キュウリ、カボチャ、メロン |
その他 | トウモロコシ、イチゴ、キャベツ、カーネーションなど |
オオタバコガは通常、土の中で蛹(さなぎ)の状態で越冬し、2025年の気候では5月頃から成虫となって活動を開始します。その後、年に4~5回世代を繰り返し、特に気温が高く乾燥する7月~10月にかけて発生が多くなる傾向があります。1匹の雌は一晩で数百個の卵を産むこともあるため、一度侵入を許すと爆発的に数が増える危険性をはらんでいます。
効果的なオオタバコガ対策の第一歩

トマトにおけるオオタバコガの効果的な対策は、何よりもまず「早期発見」と「初期対応」に尽きます。
なぜなら、オオタバコガは成長段階によって防除のしやすさが大きく異なるためです。特に、孵化して間もない若齢幼虫は比較的薬剤に弱いものの、成長して3齢以降の中・老齢幼虫になると、薬剤への抵抗性が高まるだけでなく、トマトの果実や茎の内部に潜り込んでしまいます。こうなると、散布した農薬が虫体に直接かからず、効果が著しく低下するのです。
日々の圃場観察を徹底し、以下のような被害のサインを見逃さないようにしましょう。
観察のポイント
卵の確認

成虫はトマトの先端部付近にある柔らかい葉の裏や蕾に、直径0.5mmほどのクリーム色の卵を1つずつ産み付けます。数は少ないですが、集中して産卵される傾向があるため、新芽の周辺は特に注意深く観察してください。
食害痕の確認

若齢幼虫は新芽や葉を食害し、小さな丸い穴を開けます。また、近くに黒くて小さな糞が見られることも、幼虫がいる重要なサインです。被害が進行すると、幼虫は次々と新しい果実に移動して食害を続けるため、1匹の幼虫でも被害が甚大になる可能性があります。
「まだ小さいから大丈夫」と見過ごしてしまうと、あっという間に被害が拡大します。毎日の見回りで、小さな変化に気づくことが、結果的に農薬の使用量を抑え、安定した収穫につながります。
トマトのオオタバコガに農薬が効く時期

農薬を使用してオオタバコガを防除する場合、最も効果的な散布時期は「若齢幼虫」の段階です。
前述の通り、この時期の幼虫は薬剤への抵抗性がまだ低く、体のサイズも小さいため、比較的少ない薬量でも効果が得やすいという利点があります。また、果実の内部に侵入する前に駆除できるため、トマトの商品価値を守る上でも非常に重要です。
散布タイミングを正確に把握するためには、地域の病害虫発生予察情報をこまめにチェックしたり、圃場にフェロモントラップを設置したりして、成虫の発生ピークを知ることが有効です。成虫の飛来が確認されたら、数日後には卵が孵化し始めると予測できます。
散布タイミングの要点
成虫の発生ピークを把握し、卵が孵化するタイミング(気温25℃で約3日後)を狙って農薬を散布するのが最も効率的です。特に、越冬個体から発生する第一世代(5月下旬頃から)をしっかり防除することで、その後の世代の発生密度を低く抑えることができます。
逆に、幼虫が大きく成長し、果実に5mm以上の穴を開けて内部に潜り込んでしまった後では、農薬を散布しても効果はほとんど期待できません。その場合は、被害果ごと取り除き、確実に幼虫を捕殺することが、さらなる被害拡大を防ぐ唯一の方法となります。
ミニトマトに農薬を使う際の注意点

ミニトマトを栽培している場合、農薬の使用には特に注意が必要です。「トマト」に登録がある農薬が、必ずしも「ミニトマト」に使えるとは限らないからです。
農薬取締法に基づき、農薬は作物ごとに登録が行われています。見た目が似ていても、農産物としては「トマト」と「ミニトマト」は区別されており、それぞれで登録内容が異なるケースが少なくありません。仮にトマト用の農薬をミニトマトに使用した場合、農薬取締法違反となる可能性があるほか、残留農薬基準値を超えてしまうリスクもあります。
このため、農薬を使用する前には、必ず製品のラベルを詳細に確認し、「適用作物名」の欄に「ミニトマト」の記載があることを確かめてください。
必ずラベルの適用作物名を確認
農薬の登録内容は、改訂されることもあります。購入時や使用時には、必ず最新のラベル情報を確認する習慣をつけましょう。不明な点があれば、農薬販売店や地域の農業指導機関に問い合わせるのが確実です。
農林水産省が提供している「農薬登録情報提供システム」を利用すれば、作物名と病害虫名から、現在登録されている農薬を検索できます。このシステムを活用し、「ミニトマト」と「オオタバコガ」で検索して、適切な農薬を選択することが重要です。
農薬以外の防除方法との組み合わせ
- オオタバコガの天敵を利用した防除
- 駆除を無農薬で行う物理的対策とは
- オオタバコガが嫌いな植物での予防策
- ナスにも使えるオオタバコガの農薬情報
オオタバコガの天敵を利用した防除

化学農薬だけに頼らない防除方法として、天敵を利用した生物的防除も有効な選択肢の一つです。
自然界には、オオタバコガを捕食したり寄生したりする多種多様な生物が存在します。これらの天敵が活動しやすい環境を整えることで、害虫の密度を自然に抑制し、農薬の使用回数を減らすことが期待できます。
オオタバコガの天敵としては、以下のような生物が知られています。
- 捕食寄生性昆虫:ヤドリバエや寄生バチの仲間は、オオタバコガの幼虫に卵を産み付け、孵化した幼虫が内部から捕食します。
- 捕食性昆虫:カマキリやカメムシの一部は、幼虫を直接捕食します。
- 鳥類:スズメなどの鳥も幼虫を捕食します。
現在、オオタバコガ自体をターゲットとした市販の天敵製剤(生物農薬)は一般的ではありません。しかし、圃場の周りに多様な植物を植えて天敵の隠れ家や餌場を提供したり、天敵に影響の少ない農薬を選択したりすることで、元々その地域にいる「土着天敵」を保護し、活用することが可能です。例えば、バジルなどの花が咲く植物は、寄生バチを呼び寄せる効果があると言われています。
IPM(総合的害虫管理)という考え方では、天敵の保護・活用は重要な要素と位置づけられています。化学農薬、物理的防除、生物的防除などをうまく組み合わせることで、環境への負荷を減らしながら持続的な害虫管理を目指します。
駆除を無農薬で行う物理的対策とは
農薬を使わずにオオタバコガの被害を抑えるためには、地道な物理的防除の徹底が基本となります。これらの対策は、害虫の侵入、定着、繁殖を直接的に妨げるもので、予防策として非常に重要です。
防虫ネットの設置

最も基本的かつ効果的な対策の一つが、防虫ネットです。施設の開口部(サイドや天窓など)に4mm目合い以下のネットを隙間なく張ることで、成虫の侵入を大幅に防ぐことができます。より細かい目合いのネットは小さな害虫も防げますが、通気性が悪くなり高温につながる可能性があるため、バランスを考慮して選択する必要があります。
黄色灯の活用

オオタバコガの成虫は夜行性です。この習性を利用し、夜間に黄色蛍光灯を点灯すると、成虫は昼間だと錯覚し、交尾や産卵といった活動が抑制される効果が報告されています。ただし、キクやイチゴなど、日長に敏感な作物の生育に影響を与える可能性があるため、導入には注意が必要です。
捕殺と除去

発生初期であれば、手による捕殺が最も確実です。卵や若齢幼虫を見つけたら、葉ごと取り除いて処分します。果実に穴が開いている場合は、内部に幼虫が潜んでいる可能性が高いため、被害果を速やかに摘果し、中の幼虫を確実に捕殺してから処分してください。圃場に放置すると、幼虫が新たな蛹となり、次世代の発生源となります。
栽培終了後の耕起

オオタバコガは土の中で蛹になって越冬します。被害が見られた圃場では、収穫後に作物残さを適切に処理し、冬から春先にかけて圃場を深く耕すことで、土中の蛹を物理的に破壊したり、地表にさらして鳥などの天敵に捕食させたりすることができます。
オオタバコガが嫌いな植物での予防策

コンパニオンプランツとして知られる特定の植物をトマトの近くに植えることで、オオタバコガを寄せ付けにくくする忌避効果が期待できます。これは、化学農薬に頼らず、自然の力を利用した予防策の一つです。
オオタバコガは、特定の香りや成分を嫌う傾向があります。この性質を利用して、以下のような植物を混植するのがおすすめです。
植物名 | 期待される効果 |
---|---|
マリーゴールド | 特有の強い香りが多くの害虫を遠ざける効果があるとされ、オオタバコガにも有効と言われています。成虫は黄色を嫌う性質もあるため、相乗効果が期待できます。 |
ネギ類(タマネギ、ニンニクなど) | ネギ類が持つツンとした硫黄化合物の香りは、多くの害虫に対する忌避効果があります。 |
ナスタチウム | 害虫を遠ざけるコンパニオンプランツとして広く知られています。 |
あくまで補助的な対策として
これらのコンパニオンプランツによる忌避効果は、害虫の発生を完全に防ぐものではありません。効果は環境によっても変動するため、防虫ネットや捕殺といった他の物理的防除と組み合わせることが重要です。
また、栽培管理の面では、窒素肥料の過剰な施用を避けることも大切です。窒素過多になるとトマトの茎葉が軟弱に育ち、オオタバコガの幼虫が食害しやすい状態になるため、適切な施肥管理を心がけることが、間接的な予防策につながります。
ナスにも使えるオオタバコガの農薬情報

オオタバコガはトマトだけでなく、ナス、ピーマンといった他のナス科作物も好んで加害する広食性の害虫です。そのため、ナスを栽培している場合も、トマトと同様の警戒と対策が必要になります。
ただし、農薬を使用する際には、トマトの場合と同様に「ナス」で登録があるかどうかを必ず確認しなければなりません。同じオオタバコガに効果がある農薬でも、作物によって登録状況が異なるためです。
参考として、2025年9月時点でナスとオオタバコガに登録がある農薬の一部を紹介します。
農薬名(例) | 系統(IRACコード) | 主な特徴 |
---|---|---|
アファーム乳剤 | 6 | 速効性に優れ、チョウ目害虫に高い効果を発揮するとされています。 |
ディアナSC | 5 | 既存の薬剤に抵抗性を持つ害虫にも効果が期待される比較的新しいタイプの殺虫剤と言われています。 |
グレーシア乳剤 | 30 | 速効性と長い残効性を持ち、幅広い害虫に効果があるとされています。 |
プレバソンフロアブル5 | 28 | チョウ目害虫に高い効果を示し、残効性が長いのが特徴とされます。 |
【重要】農薬情報は必ず最新のものをご確認ください
上記の表はあくまで一例です。農薬の登録内容は変更される可能性があるため、使用前には必ず「農薬登録情報提供システム」で最新の登録情報を確認し、製品ラベルの指示に従ってください。
最適なトマトのオオタバコガ農薬の選び方
- おすすめのトマト農薬とその特徴
- トマトのオオタバコガに使う農薬の系統
- 総括:トマトのオオタバコガ農薬選び
おすすめのトマト農薬とその特徴

トマトのオオタバコガ対策として使用できる農薬は数多くありますが、それぞれ作用性や特徴が異なります。害虫の発生状況や、天敵への影響などを考慮して、最適な薬剤を選択することが重要です。
ここでは、作用性の異なる代表的な農薬をいくつか紹介します。
農薬名(例) | 系統(IRACコード) | 主な特徴 |
---|---|---|
アファーム乳剤 | 6 | 天然物由来の成分で、速効性に優れるとされます。葉への浸達性があり、食入した幼虫にも効果が期待できます。(参照:シンジェンタジャパン株式会社) |
フェニックス顆粒水和剤 | 28 | チョウ目害虫に高い活性を示し、長い残効性が特徴です。天敵や訪花昆虫への影響が比較的少ないとされています。(参照:日本農薬株式会社) |
グレーシア乳剤 | 30 | 新しい作用機構を持つため、既存の薬剤に抵抗性がついたオオタバコガにも効果的と言われます。速効性があり、散布後すぐに食害を止めるとされています。(参照:日産化学株式会社) |
ゼンターリ顆粒水和剤 | 11A | 微生物を利用したBT剤です。チョウ目幼虫に選択的に作用するため、ミツバチなどの有用昆虫や天敵への影響がほとんどなく、有機JAS適合農薬としても知られています。(参照:住友化学株式会社) |
どの農薬を選ぶべきか迷った場合は、これらの特徴を参考にしつつ、地域のJAや農業指導機関に相談するのも良いでしょう。地域の発生傾向に合った、より効果的な薬剤選択のアドバイスがもらえるはずです。
トマトのオオタバコガに使う農薬の系統

オオタバコガの防除計画を立てる上で、おそらく最も重要な概念が「薬剤抵抗性」への対策です。もし、この視点が欠けていると、最初は効果があった農薬が徐々に効かなくなり、最終的には防除が非常に困難な状況に陥る可能性があります。オオタバコガは特にこの抵抗性を発達させやすい害虫として知られているため、農薬の「系統」を理解した上で使用することが不可欠になります。
薬剤抵抗性が発達する仕組み
薬剤抵抗性とは、同じ系統の農薬を繰り返し散布する環境下で、その農薬が効きにくい、あるいは全く効かない性質を持つ害虫の集団が出現する現象を指します。これは、害虫の集団の中で遺伝的にわずかに薬剤が効きにくい個体が生き残り、その子孫を増やすことで、世代を重ねるごとに抵抗性を持つ個体の割合が高まっていく「選抜淘汰」のプロセスによって引き起こされます。
つまり、特定の農薬を使い続けることは、その農薬に強い個体だけを選んで育てているようなものなのです。この問題を回避し、農薬の効果を長期的に維持するために考案されたのが、作用性の異なる農薬を計画的に使用する「ローテーション散布」という考え方です。
ローテーション散布の鍵「RACコード」とは
ローテーション散布を実践する上で欠かせない指標が、農薬の製品ラベルに記載されている「RACコード(IRACコード)」です。これは「殺虫剤抵抗性対策委員会(Insecticide Resistance Action Committee)」が定めた国際的な基準で、殺虫剤を作用する仕組み(作用機構)ごとに分類したコードになります。
RACコードの確認と原則
農薬の系統は、このRACコード(例:6、28、30など)で確認できます。ローテーション散布の原則は、このRACコードが異なる農薬を交互に使用することです。作用機構が全く異なるため、ある系統の薬剤に抵抗性を持つ個体も、別の系統の薬剤には感受性(薬が効く性質)を持っている可能性が高くなります。
例えば、神経系に作用する薬剤と、筋肉に作用する薬剤では、害虫を駆除する仕組みが根本的に異なります。この仕組みの違いを利用して、抵抗性を持つ個体の出現と蔓延を防ぐのがローテーション散布の狙いです。
効果的なローテーション散布の計画方法
効果的なローテーションを組むためには、少なくとも3系統以上の異なるRACコードを持つ農薬を準備し、計画的に使用することが推奨されます。
例えば、以下のような計画が考えられます。
散布順 | 悪いローテーションの例 | 良いローテーションの例 |
---|---|---|
1回目 | A剤 (RACコード: 28) | A剤 (RACコード: 28) |
2回目 | B剤 (RACコード: 28) ← 同じ系統 | C剤 (RACコード: 6) ← 異なる系統 |
3回目 | C剤 (RACコード: 6) | D剤 (RACコード: 30) ← 異なる系統 |
4回目 | A剤 (RACコード: 28) | A剤 (RACコード: 28) ← 1回目に戻る |
このように、漫然と同じ農薬を使い続けるのではなく、どの系統の農薬をいつ使用したのかを散布記録として管理することが非常に重要です。これにより、計画的で効果的なローテーションが可能になります。
ローテーションを怠った場合のリスク
計画的なローテーション散布を怠ると、薬剤抵抗性が発達し、防除効果が低下するだけでなく、効果を得るためにより多くの農薬を散布することになり、コストの増加や環境への負荷増大にもつながる可能性があります。
ここで重要なのは、自分だけで考えるのではなく、地域のJAや農業指導機関が発信する情報を参考にすることです。地域によっては、特定の系統に対する抵抗性の発達が報告されている場合もあります。最新の情報を得ながら、物理的防除なども組み合わせて、総合的な防除計画を立てることが、効果的なオオタバコガ対策の鍵となります。
総括:トマトのオオタバコガ農薬選び

この記事では、トマトのオオタバコガ対策について、農薬の選び方から無農薬での防除法まで幅広く解説しました。最後に、重要なポイントをリストで振り返ります。
- オオタバコガ対策は早期発見が鍵
- 被害は葉や茎だけでなく果実内部に及ぶ
- 農薬散布は若齢幼虫の時期が最も効果的
- 老齢幼虫には農薬が効きにくい
- トマトとミニトマトでは適用農薬が異なる場合がある
- 使用前には必ず農薬ラベルを確認する
- 薬剤抵抗性を防ぐためRACコードの確認は必須
- 異なる系統の農薬をローテーション散布する
- 防虫ネットは成虫の侵入防止に有効
- 黄色灯は夜間の産卵活動を抑制する
- 被害果は放置せず速やかに捕殺・処分する
- 作付け前の耕起で土中の蛹を駆除する
- 天敵やコンパニオンプランツの活用も有効な手段
- ナスなど他の作物にも発生するため注意が必要
- 総合的な防除(IPM)の考え方が重要
オオタバコガは一度発生すると被害が広がりやすい厄介な害虫ですが、その生態を理解し、適切な対策を組み合わせることで被害を最小限に抑えることができます。本記事で紹介した情報を参考に、大切なトマトを守り抜きましょう。